(1)市民協働が必要となった背景
“市民協働”は、比較的新しい言葉です。
一般的には、戦後60年の日本社会に起こった様々な構造変化(1960年代の高度経済成長による地域共同体のあり方の変容、1970年代からの少子高齢化の進展等)によって、市民の生活課題(ニーズ)が大きく変化し、これまでの旧態依然とした中央集権的な行政手法だけでは対応できなくなってきたこと、そして、地方分権の進展と、対立・要求型から提案・実践型へと変化を見せてきた市民活動の動き、これらがひとつに出会ったところに市民協働を推進する必然性が存在してきた、と言われています。
程度の違いはあれ、佐世保市でも同じような流れが起こっています。
例えば、1960年代半ばからの人口減少傾向に反する世帯数の増加(核家族化)や少子高齢化といった構造変化により、地域だけで課題を解決することが困難となり、そこから地域を越えた横断的な市民活動が誕生してきたと考えられます。
また、地方分権の流れから考えると、平成12年4月の介護保険制度導入は大きな転機だったと言えます。「住民に身近な自治体である市町村が住民とともに主体的に地域福祉を考える」ということから“地方分権の試金石”と言われ、本市は積極的に市民の声を計画づくりに反映させ“福祉自治体”としての名を馳せました。
他にも、市民の運営参加によるイベントや各種委員会への市民参加など、本市でも以前から“市民協働”という手法は実践されてきています。
改めて“市民協働によるまちづくり”を推進するというのは、まちづくりの主人公である「市民」の想いや知恵、活動等を生かし、佐世保市をより住みよいまちにしていくために、本市が市民協働という手法を再認識し、意識して取り組んでいくためなのです。
(2)市民協働とは何か
市民協働とは、市民と市民、市民と行政が相互の主体の理解と尊重、そして信頼のうえに立ち、各々の責任を自覚して、対等・平等なパートナーとしての関係で課題の予防や解決を図るものであり、市民が安心して暮らし続けられるまちづくりを目指すためのひとつの手法です。